歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)の中に含まれる細菌の毒素で歯ぐき(歯肉)に炎症が起きることからはじまります。これが悪化すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯が抜け落ちたりするばかりでなく、全身に影響が及ぶ可能性もある病気
です。
進行状態により、炎症が歯ぐきに限定されているときは歯肉炎、それ以上に進行すると歯周炎(歯槽膿漏)と呼ばれます。
歯周病は多くの人がかかっています。磨き残しから歯肉炎になりやすい子供に対し、大人は加齢により歯茎がやせてくる、免疫力が低下するなど歯周病にかかりやすくなる要因が加わる為、特に注意が必要です。
進行前 | 進行1 | 進行2 | ||
---|---|---|---|---|
![]() |
進行1 | ![]() |
進行2 | ![]() |
歯と歯ぐき(歯肉)の間の清掃が行き届かずにいるとそこに多くの細菌が増殖し、赤みを帯びて炎症を引き起こしたり、腫れたりし
ます。
歯ぐきだけに炎症が起こる状態を歯肉炎といいます。
多くの場合、痛みはほとんどないため、自覚症状がないままに歯周炎へと進行してしまうこともあります。
この段階で歯を磨いた際に歯ぐきの腫れや歯みがき時の出血などの症状に気付き、歯科医院を受診することで歯周炎への進行を阻止でき
ます。
気にしながらも忙しさに放置してしまう人が多いですが、このような症状に気付いた時には、1日も早く受診しましょう。
歯肉炎が進行すると歯周炎となります。
歯肉(歯ぐき)だけに炎症が起きていた状態から、周りの組織(歯根膜、セメント室、歯槽骨)にまで炎症が拡大した状態になると増殖し続けた細菌により、既に大切な歯の根元部分の破壊も始まっています。
深部への浸食が進むにつれ、腫れや痛みに悩まされます。歯はぐらつき、噛む力は弱まり食事がつらくなります。
一度破壊されてしまった歯周組織を再生することは簡単ではなく、抜歯を回避できなくなり、入れ歯などの義歯の使用を余儀なくされます。
少しでも違和感を覚えた時には、1日も早く歯科医院を受診しましょう。
歯肉の炎症が全身に多くの影響を与えることは昨今の研究で明らかになってきてい
ます。
お口の中の細菌が血液を経由し、全身へと流れ疾患を引き起こすことが証明されつつあります。
中でも糖尿病との関連性が高いものとして知られていますが、その他、脳梗塞、心疾患、慢性腎臓病、呼吸器疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、悪性新生物(がん)、早産・低体重児出産など、様々な全身疾患と関連している事が報告されています。
歯周病を治療し、口腔の健康を維持することは、全身の健康維持にとっても重要であるといえるでしょう。
ひとつでも心当たりのある場合は、歯肉炎の疑いがあります。
早めの検査をオススメします。
「歳をとると歯は自然に抜けてしまうもの」と誤解している人もいるほどに日本人は歯を失う人が多く、成人の8割が歯周病患者であるとも言われています。
本来、健康な歯が突然抜けることはありません。
もし歯が突然抜けてしまったのであれば、単純に年齢のせいではなく、歯周病や虫歯によって抜けた可能性が高いと考えられ
ます。
以前は歯を失う原因1位は虫歯でしたが、現在では歯周病が1位です。
罹患しないためにも患者様自身の予防が最も重要です。毎日の歯みがきと歯科医院でのメインテナンスで健康なお口を保ちましょう。